ひばり児童合唱団の本拠地は、目黒区洗足にある。何十年と受け継がれるこのお稽古場には、かわいい小さなイスが並んでいる。幼稚園なんかにあるような、背もたれがちょこんと付いたデザインのイスだ。そのイスもピアノも、お稽古場自体も本当に古い。
時間になると、子どもたちがやって来る。少し大きなお姉さんたちは後ろに、まだ小さい人は前の方に腰かける。いつもそうだが、お姉さんたちの眼はキラッキラしている。小さい人があくびをすると、お姉さんたちは眼をキラッキラさせたまま、あくびをした子の姿勢を正す。きっと数年前はそのお姉さんも前の列に座っていたろうに。ここでは何かが受け継がれている、確かに、しっかりと。
大人になって再びお稽古場を訪れる人もいるだろう。その時、誰もがこのイスの小ささにびっくりするに違いない。そして、いつもまでも変わらないそのイスの存在を、きっと誇らしく思うだろう。
(ひばり児童合唱団「創立70周年記念公演」プログラムより)